ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」でルネサンス音楽へ

「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」  ブラックモアズ・ナイト
1. Shadow Of The Moon
2. The Clock Ticks On
3. Be Mine Tonight
4. Play Minstrel Play
5. Ocean Gypsy
6. Minstrel Hall
7. Magical World
8. Writing On The Wall
9. Renaissance Faire
10. Memmingen
11. No Second Chance
12. Mond Tanz
13. Spirit Of The Sea
14. Greensleeves
15. Wish You Were Here


レインボーがあっけなく空中分解してしまい、その後の活動が注目されていたリッチー・ブラックモアであるが、かねてから好きだったルネサンス音楽をテーマにしたアルバム制作についに取りかかる。

そのバンドがブラックモアズ・ナイトである。

シンガーに現在の妻であるキャンディス・ナイトを起用しているのもサプライズであった。

まさかまさかの展開で、いわば自身の趣味の延長線上にあるともいえるこの「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」であるが、それまでのリッチー・ブラックモアのイメージを覆すアルバムとして興味津々リリースを待ったのを覚えている。

1997年の発表。

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リッチー・ブラックモアの一大転機

この「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」を制作する頃のリッチー・ブラックモアの状況を見てみよう。

ディープ・パープルもレインボーもシンガーをはじめとするメンバーとの確執の末にピリオドを打っている。

それまでのキャリアのすべてと言っても過言ではない2大バンドが白紙の状態となり、メンバー探しにも疲れ、そばにいるのが同じルネサンス趣味を持つキャンディス・ナイトであれば、この音楽をやろうと思うのも自然な流れだったのではないか?

つまり、条件が揃ったのである。

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ブラックモアズ・ナイトのサウンド

仕上がったアルバムは秀逸でルネサンスの香りにあふれ、リッチー・ブラックモアの世界観で満たされている。

それまでほとんどアコースティック・ギターによるプレイは披露していなかったこともあり、どんなプレイを聞かせてくれるかと思っていたが、エレクトリック・ギターと大して変わっていない。

もちろんサウンドやエレクトリック・ギターでしかできないプレイはやってないが、インプロビゼーションを主体としたプレイはアコースティック・ギターに持ちかえても基本的には同じだ。

ただ、ミスも出やすく、集中力も要求されるため、より丁寧に弾いているように思われる。

当時、バラードをやりたいと発言していたこともあり、バラード曲におけるメロディアスかつエモーショナルなプレイは本作の聞きどころのひとつだろう。

リッチー・ブラックモアの真価

リッチー・ブラックモアというギタリストの真価は、その曲に合わせたプレイをすることにあると思うのだが、「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」は、その意味においても傑作と呼べるアルバムで、どの曲においても実に味わい深いプレイが展開されている。

テクニカルなプレイは影を潜め、曲を引き立たせるような、あるいは曲の一部のようなプレイに終始している。

曲調もそうなのだが、これまでロックな部分が好きだったファンには到底受け入れられるものではないだろう。

レインボーのポップ化どころの比ではない。

ここが賛否両論の原因と思われるが、仕方のないことだろう。

これがリッチー・ブラックモアがやりたかったことなのである。

しかし、よく聞いてみると使う楽器は変わったが曲の構成自体はこれまでのロックと変わらないのも事実である。

つまり、イントロ(リフorアルペジオ)から始まり、歌が入り、間奏(ギター・ソロ)があり、また歌があり…という具合だ。

乱暴に言ってしまえば、変わったのは、曲がルネサンス調であることとサウンドだ。

そう思って聞けばあまり違和感ないんじゃないかともいえる。

まとめ

こうして誕生したブラックモアズ・ナイトであるが、当初は一時的なプロジェクトでまたロックに戻るだろうと思われていた。

がしかし、その後19年に渡り、リッチー・ブラックモアはブラックモアズ・ナイトの活動に専念し、昨年レインボーがライブを行うまでロックには戻らなかった。

ある意味では、安住の地を得たのであろう。

好きな音楽を好きな人とやるという理想的な環境を手にした今は音楽人生で一番幸せな状態にあるといえる。

やりたくない音楽をやらされれば真価を発揮しない人である。

ルネサンス音楽をやりたいのであれば、その音楽をやった時にこそ一番いいプレイをするのは目に見えている。

70歳を過ぎた今、ロックを要求するのも酷というものだ。

これからもルネサンス音楽を追い続ける旅は続いていくだろうが、その始まりとして最もピュアなアルバムともいえる「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」は忘れることのできない名盤だ。

ロックしか聞かない方、クラシックしか聞かない方にもぜひ一度聞いてもらいたいものだ。

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