クイーンを聞いていてフレディ・マーキュリーがオペラ好きなんだろうというのは見当がついていたが、それが発展してあこがれのパートナーであるモンセラート・カバリエとともに作り上げた渾身の一作が、この「バルセロナ」だ。
まさにフレディ・マーキュリーにとっては一世一代の夢がかなったアルバムだが、どんな経緯で制作されたアルバムなのだろうか?
今回は、フレディ・マーキュリーとオペラ歌手カバリエの夢の共演「バルセロナ」について見ていきたいと思う。
フレディ・マーキュリー&カバリエ「バルセロナ」
収録曲は8曲で、今の感覚から見ると少ないように感じるかもしれないが、内容が素晴らしいだけに曲数の多い少ないは、もはや問題ではない。
そのオペラチックな作風とバラードはフレディ・マーキュリーの趣味が存分に発揮されており、他のロック・アーティストにはない独自の世界観だ。
フレディ・マーキュリー&カバリエ「バルセロナ」の収録曲は、以下の通り。
「バルセロナ」 フレディ・マーキュリー&モンセラート・カバリエ
収録曲
1. バルセロナ
2. ラ・ジャポネーゼ
3. フォールン・プリースト
4. エンスエニョ
5. ゴールデン・ボーイ
6. ガイド・ミー・ホーム
7. ハウ・キャン・アイ・ゴー・オン
8. オーヴァーチュアー・ピカンテ
ヴォーカル
フレディ・マーキュリー&モンセラート・カバリエ
1988年の発表。
フレディ・マーキュリーとオペラ歌手カバリエの共演
タイトル・トラックの「バルセロナ」がバルセロナ五輪のオフィシャル・ソングとして有名なこのアルバム。
いつものクイーンやソロアルバムとは全く違う空気感にあふれている。
始まりは、1981年。
かねてからのオペラ・ファンであるフレディ・マーキュリーは、ロンドンでルチアーノ・パヴァロッティの出演する「仮面舞踏会」を見に出かけた。
パヴァロッティももちろん素晴らしかったが、この時に強く心惹かれたのは、メゾ・ソプラノのモンセラート・カバリエの歌声であった。
すっかり彼女の歌声の虜となったフレディ・マーキュリーは、彼女とのレコーディングを強く希望するようになる。
そしてついに1987年、バルセロナのホテル・リッツで彼女と面会する。
フレディ・マーキュリーは、用意周到な男でこの時、モンセラート・カバリエのためにデモテープを用意していた。
これを聞いたモンセラート・カバリエもすっかりその気になり、この「バルセロナ」のレコーディングが実現した。
「バルセロナ」はフレディ・マーキュリー最後の名盤
そんな背景で出来上がったアルバムだから、フレディ・マーキュリーにとっても気合が入らないわけがない。
オープニングから、2人の歌声をフルに生かした曲が最後まで並ぶ。
「ラ・ジャポネーゼ」では、東洋テイストがあふれ、歌詞には日本語も登場する。
こちらの記事も合わせてどうぞ!
☞ フレディ・マーキュリーの日本語の曲は?クイーンのライブでも披露!
「ハウ・キャン・アイ・ゴー・オン」では、クイーンのジョン・ディーコンがベースを弾いている。
後半に行くにつれ、心打つバラードが秀逸だ。
そして残念だったのが、1992年のバルセロナ五輪の開会式でモンセラート・カバリエと「バルセロナ」を披露する予定であったが、叶わなかったこと。
前年11月、フレディ・マーキュリーは、帰らぬ人となっていたからである。
本当に残念でならない。
フレディ・マーキュリー&カバリエ「バルセロナ」~まとめ
今回は、フレディ・マーキュリーとオペラ歌手カバリエの夢の共演「バルセロナ」について見てきた。
個人的には、フレディ・マーキュリーが関わったアルバムの中で、この「バルセロナ」がイチバン好きだ。
自分の中では、特別な1枚になっている。
しかしながら、ロック色も薄いし、本格的なオペラの香りがプンプン漂っているのだから純粋なロック・ファンからは評価の分かれるところかもしれない。
従来のクイーンのアルバムとも違うし、これがフレディ・マーキュリーのやりたかったことなのかと驚くファンも多かっただろう。
幅広い音楽性と独特の感性を持っていたフレディ・マーキュリーとモンセラート・カバリエの共演という夢を実現させた一世一代の名盤としてこの「バルセロナ」はキャリアの中でも異彩を放っている。
フレディ・マーキュリーというミュージシャンが凝縮された1枚として、忘れることのできない名盤だ。
コメント