クラシックギターの曲というと、素朴でどこか懐かしさを感じさせるような曲が多いように思う。
普段は激しいロック系の曲を聞くことが多い筆者も、時々、クラシックギターの曲を聞くのだが何かホッとした気分になる。
そんなクラシックギターの名曲・名演奏には、どんなものがあるのだろうか?
今回は、クラシックギターの名曲ランキングとそれぞれのおすすめの名演奏を紹介していきたいと思う。
- クラシックギターの名曲ランキング
- クラシックギターの名曲ランキング~まとめ
クラシックギターの名曲ランキング
ギターは世界中で親しまれているポピュラーな楽器であるが、クラシックギターとなると本場はやはりヨーロッパ、しかもスペインということになる。
実際に名曲もスペインのものが多く、今回のクラシックギターの名曲ランキングでもスペイン生まれの名曲が10曲中6曲を占めた。
しかし、冒頭に書いたような素朴で懐かしさを感じさせるような曲ばかりかというと、必ずしもそうではなく、「タンゴ・アン・スカイ」や「スペイン舞曲第1番」などスリリングな名曲も多く含まれる結果になった。
すべて筆者の主観で選んでいるが、世間一般でいわれている名曲とそうズレてもいないかと思う。
クラシックギターの名曲ランキング①~アルハンブラの思い出
1896年フランシスコ・タレガ作曲。
曲の最初から最後までトレモロ奏法で貫かれたある意味では非常に特殊な名曲であるが、マイナーキーからメジャーキーに転調する中、スペインらしい哀愁ある美しいメロディーがとにかく秀逸だ。
クラシックギターにおいて決して外すことのできない名曲で、有名なだけでなく個人的にはクラシックギターで最も好きな曲。
アルハンブラの思い出~おすすめの名演奏
「アルハンブラの思い出」といえばトレモロ、トレモロといえば朴葵姫(パク・キュヒ)の名が浮かぶ。
粒ぞろいで滑らかなトレモロは超一級品で、おすすめの名演奏として最もふさわしいだろう。
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クラシックギターの名曲ランキング②~アランフェス協奏曲
1939年ホアキン・ロドリーゴ作曲のギター協奏曲。
3楽章形式であるが、おすすめなのは有名な第2楽章で、哀愁に満ちた美しくも哀しいメロディーが胸に染み入る。
筆者にとっては初めてのクラシックギターのコンサートがこの「アランフェス協奏曲」だったこともあり、とても思い出深い名曲だ。
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アランフェス協奏曲~おすすめの名演奏
これだけの名曲だからさまざまな名演奏があるが、筆者のおすすめの名演奏はクラシックギタリストではなくフラメンコギタリストによるもの。
カニサレスがサイモン・ラトル&ベルリンフィルと共演したバージョンだ。
クラシックギタリストとのニュアンスの違いや随所に飛び出すアドリブ・プレイなど、新鮮な魅力に溢れている。
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クラシックギターの名曲ランキング③~禁じられた遊び
クラシックギターといえば、「禁じられた遊び」が真っ先に頭に浮かぶ方は多いのではないだろうか。
スペイン民謡であるが作者不明で、映画で使用され「愛のロマンス」とも呼ばれている。
おそらく知らない人はいないのではないかというほど有名で、知名度では間違いなくクラシックギターでナンバーワンの名曲。
「アルハンブラの思い出」がトレモロなら、「禁じられた遊び」は1~3弦の3連が曲の最初から最後まで続く美しさがある。
禁じられた遊び~おすすめの名演奏
スペインのナルシソ・イエペスの演奏で広まった「禁じられた遊び」だから、名演奏はやはりイエペスをあげたい。
10弦ギターによる正確で凛々しい演奏だ。
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クラシックギターの名曲ランキング④~タンゴ・アン・スカイ
ローラン・ディアンス作曲。
ローラン・ディアンスが酔って即興的に作ったといわれているが、聞いただけでも難しそうな感じがする。
クラシックギターの名曲の中でカッコよさでは1、2を争う名曲で、フラメンコの奏法やトリッキーなところもあってギタリストの個性がダイレクトに出やすい曲といえるだろう。
タンゴ・アン・スカイ~おすすめの名演奏
「タンゴ・アン・スカイ」には作者のローラン・ディアンス自身の演奏があるので、おすすめの名演奏としてあげたい。
動画で見ると、聞くだけでなくトリッキーさやカッコよさから見ても楽しめる名曲だ。
クラシックギターの名曲ランキング⑤~アラビア風奇想曲
フランシスコ・タレガ作曲。
アラブ情緒を感じさせる名曲で、「アルハンブラの思い出」や「禁じられた遊び」と違ってカチッとしてなくて演奏者が自由に弾くことができる。
タイプは対照的であるが、非常に味わい深くタレガの「アルハンブラの思い出」と並ぶ名曲であることは間違いない。
アラビア風奇想曲~おすすめの名演奏
「アラビア風奇想曲」は、アンドレス・セゴビアのフェイヴァリットだったということで、おすすめの名演奏としてあげたいと思う。
よく歌うメロディーが異国情緒を感じさせる。
クラシックギターの名曲ランキング⑥~アストゥリアス
イサーク・アルベニス作曲。
「スペインの歌」の第1曲「前奏曲」として作曲された名曲だが、もともとはピアノの曲で、アンドレス・セゴビアによってギターの曲に編曲された。
ギタリストとしてはピアノ・バージョンよりギター・バージョンのほうが、ギターのならではの魅力が発揮されているような気がする。
静かに始まるイントロから徐々に盛り上がってくる曲調は、聞いていてワクワクさせるものがある。
アストゥリアス~おすすめの名演奏
「アストゥリアス」の名演奏としては、ジョン・ ウィリアムスのバージョンをおすすめしたい。
くっきりした音と確かなテクニック、そして濃淡を付けた音色など巨匠ジョン・ ウィリアムスの本領が遺憾なく発揮されている。
クラシックギターの名曲ランキング⑦~シャコンヌ
J・S・バッハ作曲の「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ第2番ニ短調」(BWV1004)の第5曲。
ヴァイオリニストのバイブルといわれるだけに、今回のクラシックギターの名曲ランキングのギター単独の曲としても最も長くてスケールの大きな名曲だ。
クラシックギターの名曲は親しみやすくて素朴な曲が多いものだが、「シャコンヌ」だけは難しそうで神聖な響きがする。
難易度も高く、クラシックギタリストにとっては究極の名曲といえるかもしれない。
シャコンヌ~おすすめの名演奏
「シャコンヌ」は演奏も難しければ、おすすめの名演奏を選ぶのも難しい。
筆者自身もよく理解できていないせいかもしれないが、実直なナルシソ・イエペスのバージョンをあげたいと思う。
淡々と進行しているようで、とても深みのある演奏だ。
クラシックギターの名曲ランキング⑧~”はかなき人生”スペイン舞曲第1番
マヌエル・デ・ファリャ作曲。
「はかなき人生」は、全2幕のオペラであるが、ギターやピアノ用に編曲されて演奏されている。
その中のスペイン舞曲第1番は、哀愁の中にスリリングなフラメンコ調の魅力を内包した名曲である。
複数のギターで演奏され、いかにもスペインという雰囲気があふれている。
“はかなき人生”スペイン舞曲第1番~おすすめの名演奏
おすすめの名演奏は、ジュリアン・ブリームとジョン・ ウィリアムスが共演したバージョンがいい。
2人の名手のデュオだけに息もつかせぬ緊張感に満ちたプレイが展開されている。
クラシックギターの名曲ランキング⑨~モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲
モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」の主題をフェルナンド・ソルがギター独奏用に編曲。
ソルはギターのための曲を数多く手掛けたが、その中でも有名なのが、このモーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲で、筆者はソルというとこの名曲を思い出すほどである。
編曲による展開も見事で、転調してからはとても快活な曲に仕上がっていて、ギタリストの個性も出やすい名曲ではないだろうか。
モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲~おすすめの名演奏
おすすめの名演奏は、クロアチアの女流ギタリストのアナ・ヴィドヴィチのバージョンをあげたい。
はっきりとした粒立ちの音と抑揚のある演奏は実に個性的だ。
クラシックギターの名曲ランキング⑩~大聖堂
アグスティン・バリオス作曲。
3楽章から成る大作で、緩急を織り交ぜた繊細なパート、そしてダイナミックな展開は聞き終えると何ともいえない満足感がある。
ドラマティックで見事な起承転結に圧倒される名曲だ。
大聖堂~おすすめの名演奏
「大聖堂」のおすすめの名演奏は、世界でも指折りのテクニックを誇る山下和仁のバージョンをあげたい。
抜群のテクニックに支えられた演奏は「大聖堂」にはピッタリで、デリケートなタッチから後半の畳み掛けまでこのギタリストの魅力が存分に発揮されている。
クラシックギターの名曲ランキング~まとめ
今回は、クラシックギターの名曲ランキングとそれぞれのおすすめの名演奏を紹介してきた。
すべて筆者の主観で選んだ10曲の名曲だったが、どれもがクラシックギターでは欠かすことのできない名曲ばかりだ。
おすすめの名演奏も紹介したが気に入ったギタリストがいたなら、ぜひ違う曲の演奏もチェックしていただければと思う。
家でゆっくりくつろぎたい時やクラシックギターで何かいい名曲はないかお探しの時などにお役に立てれば幸いである。
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