アランフェス協奏曲といえば、ギターの協奏曲の名曲中の名曲なのは言うまでもありません。
なので、プロのクラシック・ギタリストなら一度は弾いてみたい曲なのは間違いないところで、これまでに名盤も多く誕生しています。
筆者もこのアランフェス協奏曲は大好きで、いろいろなギタリストのCDを聞いたり、コンサートで何度か生演奏も体験してきました。
今回は、数あるアランフェス協奏曲の録音の中でもどんな名盤があるのか、鑑賞した感想とさらにコンサートの思い出も振り返ってみたいと思います。
アランフェス協奏曲とは?~映画・ジャズでも使用
アランフェス協奏曲は、スペインの盲目の作曲家ホアキン・ロドリーゴが1939年に作曲したギターのための協奏曲です。
マドリード郊外の古都アランフエスの美しさを妻がロドリーゴに伝えて、それがインスピレーションとなってできたといわれています。
特に有名なのが第2楽章で、その儚げで哀愁を帯びたメロディーは多くの人たちの心をとらえ、映画に使用されたりジャズやポップスにアレンジして使用されたりしています。
もともと音量の小さなクラシックギターでオーケストラとの協奏曲を作曲するのは難しく、ギターによる協奏曲は他のソロ楽器に比べてそれほど多くはありません。
そんな中でできた名曲「アランフェス協奏曲」は、ひとつの奇跡といっていいかもしれません。
アランフェス協奏曲の名盤と鑑賞した感想
そんなアランフェス協奏曲であるから古今東西多くのギタリストたちが、この名曲を演奏してきました。
当然のことですが、名盤と呼ばれるものも数多く生まれています。
曲自体がいいだけに鑑賞していて曲の中に入り込んでしまうこともしばしばです。
唯一、巨匠アンドレス・セゴビアが一度も演奏しなかったというのは信じがたいことといえるでしょう。
録音が残っていないのはクラシックギター界の損失とさえ思えてきます。
それはともかく、筆者が鑑賞してきた名盤の中でも対照的な2人のギタリストによる名盤の感想を綴っていきます。
アランフェス協奏曲の名盤その1~山下和仁
まず日本人ギタリストですが、筆者の中では山下和仁以外には考えられません。
ギター協奏曲の難点である音量の小ささという点では、山下和仁は関係ないといっていいでしょう。
クラシックギターとは思えないダイナミックな演奏はオーケストラと対等以上に渡り合い、有名な第2楽章では一転して情感豊かな演奏を披露しています。
また凄まじいテクニックの持ち主でもあるので、余裕でこの難曲を弾きこなしています。
他とは次元の違う名盤というのが鑑賞した後の感想です。
バックは、ジャン=フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団の演奏となっています。
アランフェス協奏曲の名盤その2~カニサレス
もうひとつの名盤がスペインのフラメンコ・ギタリスト、カニサレスの名盤です。
こちらはサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルと、バックも凄い組み合わせとなっています。
カニサレスはアランフェス協奏曲のためにフラメンコ・ギターとクラシック・ギターのいいとこどりをしたハイブリッド・ギターを使用しています。
フラメンコ・ギタリストだからと相当に毛色の違う演奏をするかと思ったら、実に味わい深いていねいな演奏を披露しています。
第2楽章における集中力もビシバシ伝わってきます。
アドリブ的な要素もあって好き嫌いが分かれるかもしれませんが、フラメンコ・ギター特有のラスゲアードなどこのギタリストならではの演奏を楽しむことができる名盤といえます。
非常に個性的な名盤というのが偽らざる感想です。
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの室内楽のような緻密さも、鑑賞する上で忘れてはなりません。
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アランフェス協奏曲のコンサートの思い出
アランフェス協奏曲のコンサートには今までいくつか行ったことがあって、覚えているだけで、山下和仁、ナルシソ・イエペス、カニサレス、朴葵姫(パク・キュヒ)などのギタリストが思い出されます。
その中でも強く思い出に残っているのが、今回あげた山下和仁と朴葵姫(パク・キュヒ)です。
カニサレスももちろん良かったですが、コンサートの感想は上に書いた名盤を鑑賞した感想と同様だったので割愛させていただきました。
アランフェス協奏曲のコンサートの思い出①~山下和仁
アランフェス協奏曲のコンサートでいつも心配なのが、ギターの音がオーケストラに埋没してしまわないかということです。
しかし、山下和仁の場合、そんな心配は無用だというのはすでに書いた通りです。
筆者の場合、なぜ山下和仁のコンサートが思い出に残っているかというと初めてのクラシック・コンサートだったからです。
もう30年以上も前の話です。
当時、大学生でクラシック・ギターのレッスンを受け始めて間もない頃だった筆者は、クラシック・ギターとは思えないダイナミズムに大きな衝撃を受けました。
詳しくは、こちらの記事でレポートしているので、よかったら閲覧していただければと思います。
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アランフェス協奏曲のコンサートの思い出②~朴葵姫(パク・キュヒ)
そして、最近では朴葵姫(パク・キュヒ)のアランフェス協奏曲のコンサートが思い出に残っています。
手も体も小さいだけに音量に関しては他のギタリスト以上に心配でしたが、朴葵姫(パク・キュヒ)の場合はマイクで音を拾って増幅させる作戦でした。
”歌が聞こえるギター”といわれるぐらいギターを歌わせることが得意な朴葵姫(パク・キュヒ)だから第2楽章には特に期待していました。
そして期待通り、レガートに歌いまくるフレージングが見事にハマり、音量こそ小さかったものの素晴らしい演奏を聞くことができました。
余談ですが、この日は朴葵姫(パク・キュヒ)のサントリーホール初登場のコンサートで、確かアンコールに応えて、「タンゴ・アン・スカイ」が演奏されたように記憶しています。
まだCDなど音源はリリースされていませんが、できれば映像作品のDVD・ブルーレイでリリースしてほしいギタリストです。
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アランフェス協奏曲の名盤~まとめ
今回は、アランフェス協奏曲の名盤を鑑賞した感想とコンサートの思い出などを振り返ってみました。
アランフェス協奏曲の名盤は、ここでは山下和仁とカニサレスの演奏を紹介しました。
しかし、ここで紹介した以外にもたくさんあるから、いろいろと聞いてみていただければと思います。
筆者も全部聞いているわけではないですし、むしろまだその一部しか聞いていません。
コンサートとなるとさらに少なく、アランフェス協奏曲の場合はこれだけの名曲にもかかわらず、他のピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲ほど演奏される機会も少ない印象があります。
名曲中の名曲だけに今後もいろいろな名演や名盤が現れることでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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