ヨーロッパといえば、だれもが「ファイナル・カウントダウン」を真っ先に思い浮かべることだろう。
しかし、元祖北欧メタルとしての”水晶のごときメロディー”という点では、このデビューアルバムの「幻想交響詩」が上ではないだろうか?
デビューアルバムということもあって初々しさにあふれている。
今回は、元祖北欧メタルのデビューアルバムとなるヨーロッパの「幻想交響詩」の感想を綴ってみたいと思う。
ヨーロッパ「幻想交響詩」
ヨーロッパの最高傑作は「ファイナル・カウントダウン」に疑いの余地はない。
しかし、筆者にとってはこのデビュー・アルバムの「幻想交響詩」がイチバンの思い出である。
バンドでギターを弾いていた同級生が、「これはすごくいいから絶対に聞け!」と半ば強引にLPレコードを貸してくれたのがきっかけ。
なんとありがたいことだろう(笑)。
バンド名も何も知らずに、特に期待せずレコードに針を落とした覚えがある。
ヨーロッパ「幻想交響詩」の収録曲とメンバーは、以下の通り。
「幻想交響詩」ヨーロッパ
収録曲
1.イン・ザ・フューチャー・トゥ・カム(In The Future To Come)
2.フェアウェル(Farewell)
3.セヴン・ドアーズ・ホテル(Seven Doors Hotel)
4.ザ・キング・ウィル・リターン(The King Will Return)
5.ボ・ヤ・ゾ・ン(Boyazont)
6.チルドレン・オブ・ディス・タイム(Children Of This Time)
7.ワーズ・オブ・ウィズダム(Words Of Wisdom)
8.パラダイス・ベイ(Paradize Bay)
9.メモリーズ(Memories)
メンバー
ヴォーカル:ジョーイ・テンペスト
ギター:ジョン・ノーラム
ドラムス:トニー・レノー
ベース:ジョン・レヴィン
1983年の発表。
ヨーロッパ「幻想交響詩」の感想
だれが聞いても「ファイナル・カウントダウン」の完成度に比べたら、「幻想交響詩」は一歩も二歩も劣るかもしれない。
では、なぜこのアルバムに魅力を感じるのか?
ヨーロッパの「幻想交響詩」には、デビュー作ということもあり「ファイナル・カウントダウン」以上の勢いがある。
オープニングの「イン・ザ・フューチャー・トゥ・カム(In The Future To Come)」から初々しいばかりの勢いだ。
そして、経験の浅さからきているのか(?)、荒削りなサウンドも魅力のひとつとなっている。
その辺を例えるなら、ディープ・パープルだ。
一般的に「マシン・ヘッド」がきれいにまとまっており、最高傑作とされるが、ハード・ロックとしての勢いなら、個人的には、「イン・ロック」だと思う。
これと同じような経過をヨーロッパも辿り、徐々に洗練されたサウンドになっていった。
ヨーロッパ「幻想交響詩」~元祖北欧メタルの始まり
そして、このヨーロッパ「幻想交響詩」のイチバンの特徴がアルバム全編を貫くメロディーの美しさである。
”水晶のごときメロディー”とか”泣きのメロディー”とか言われるが、とにかく痺れるほどの美しさだ。
曲を作っているヴォーカルのジョーイ・テンペストも先にメロディーから作っているそうだ。
ギターのジョン・ノーラムもメロディアスだが、ゲイリー・ムーアとマイケル・シェンカーのファンらしい。
なるほどプレイもこの2人を足して2で割ったようなプレイだ。
そして、当時、ハード・ロック不毛の地と思われていた北欧からこのような素晴らしいアルバムが出たというのも驚きだ。
今でこそ北欧メタルという言葉があり、多くのバンドが輩出されているが、ヨーロッパはまさにその先駆けであった。
そう、北欧メタルはヨーロッパのデビューアルバム「幻想交響詩」から始まったのである。
以来、ヨーロッパのアルバムは今でも現在進行形で聞いている。
ヨーロッパ「幻想交響詩」の感想~まとめ
今回は、元祖北欧メタルのデビューアルバムとなるヨーロッパの「幻想交響詩」の感想を綴ってみた。
「ファイナル・カウントダウン」が大ブレイクしてからは、「幻想交響詩」の曲は、ライブで演奏される機会はほとんどなくなってしまった。
サウンドも次第にポップになっていき、初期の陰影のあるメロディーは影を潜めた。
筆者にとっては非常に残念なことだった。
おまけにギタリストも変わってしまった。
1987年だったか来日公演を見る機会に恵まれたが、素晴らしいライブにもかかわらずギターのジョン・ノーラムがいなかったことだけが心残りだった。
ヨーロッパを初めて聞くなら、やはり「ファイナル・カウントダウン」か、もしくは、ベスト・アルバムが出ているのでこのどちらかから入るのがおススメだ。
そして気に入ったなら、ぜひこの「幻想交響詩」を聞いていただきたい。
ヨーロッパというバンドのルーツといおうか、真骨頂がここには詰まっていると思う。
個人的な思い入れもあって、このアルバムの完全再現ライブを見てみたい。
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