泣きのギターとよくいうが、具体的にこれが泣きのギターという定義はありません。
泣きのギターといってもむせび泣くようなギターから泣き叫ぶようなギターまで、さまざまです。
速弾きとは違うギタリストの感情表現としては、最高レベルのものが求められるようにも思います。
定義はないが、泣きのギターとはどんな意味なのでしょうか?
今回は、泣きのギターとはどんな意味なのか、さらにおすすめギタリストと名曲も紹介していきます。
泣きのギターとはどんな意味?
不思議なもので、ロック系(エレキギター)以外のジャンルでは泣きのギターという表現はあまり聞いたことがありません。
泣きのギターとはどんな意味かをひと言で言い表すのは非常に難しいのですが、強烈な感情表現であることは間違いでしょう。
速弾きとは、対極に位置するものといってもいいでしょう。
主に泣きのギターは、ロック系(エレキギター)で使われることが多いように思います。
理由を自分なりに考えてみたのですが、これにはエレキギターとアコースティックギターの違いが影響しているように思われます。
エレキギターのほうが、圧倒的に音に表情をつけやすいようからです。
それは、チョーキングと音の伸びです。
エレキギターの最大の特徴がチョーキングで、アコースティックギターではいくらマネしようとしても到底エレキギターほどの情感豊かな表情は出せないでしょう。
そして、音の伸びも同様で、音が減衰していくギターという楽器でエレキギターに比べアコースティックギターはもろに減衰していくことになります。
このチョーキングや音の伸びを活かしたビブラートなどを巧みに駆使したギターによる感情表現を泣きのギターといっていいのではないでしょうか。
これらが高い次元で実現された時に、人が泣くようにギターが泣くかのように感じます。
泣きのギター~おすすめギタリストと名曲
続いて、泣きのギターのおすすめギタリストとその名曲を紹介していきたいと思います。
10人のギタリストをあげましたが、共通しているのがいずれも上述のチョーキングやビブラートなどが巧みな名手ばかりということです。
こんな風に弾ければと思いますが、10人ともすでに達人の領域に達しているといっていいでしょう。
泣きのギターのおすすめギタリスト①~ゲイリー・ムーア
泣きのギターといえば、この人ゲイリー・ムーアです。
ミスター・ギター・クレイジーとも呼ばれマシンガン・ピッキングに代表される速弾きも定評がありますが、バラード系の曲における泣きのギターはまさにゲイリー・ムーアの真骨頂といえます。
ブルースをベースにした泣きのギターは、チョーキングやビブラートなどを駆使して、1音に込めた魂は音だけでなく、その表情からも伝わってきます。
ゲイリー・ムーアおすすめの泣きの名曲は、「パリの散歩道」「サンセット」「エンプティ・ルームズ」「ザ・ローナー」「メシア・ウィル・カム・アゲイン」「スティル・ガット・ザ・ブルース」など数多く、アルバムに1曲はあるのではないかというほどです。
泣きのギターのおすすめギタリスト②~マイケル・シェンカー
泣きのギターのおすすめギタリスト、続いてはマイケル・シェンカーです。
マイケル・シェンカーの場合、泣きのギターというより普通にメロディーを奏でていても泣きになっていることが多いような気がします。
独特のメロディー・センスが自然に泣きのギターにつながっているのだろうと思われます。
にもかかわらず、バラード調の曲は意外に少なく普通のロックソングでも泣いているのがマイケル・シェンカーの特徴といえます。
マイケル・シェンカーおすすめの泣きの名曲は、「レット・イット・ロール」「ラブ・トゥ・ラブ」「テイルズ・オブ・ミステリー」「ネバー・トラスト・ア・ストレンジャー」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト③~ジェフ・ベック
フュージョンからのアプローチなどトリッキーなギタリストというイメージが強かったジェフ・ベックですが、泣きのギターも超一流です。
ジェフ・ベックの場合、オリジナルの曲は少ないのですが、他人の曲に自分の魂を吹き込んで独自の色に染め上げる芸当は天才的ともいえます。
繊細なサウンド・コントロールやフレージングなどジェフ・ベックだけの泣きのギターがあります。
ジェフ・ベックおすすめの泣きの名曲は、「悲しみの恋人達」「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト④~エリック・クラプトン
エリック・クラプトンは、ゲイリー・ムーア同様、ブルースをベースにした泣きのギターです。
同じブルースでもゲイリー・ムーアが感情を大爆発させるような泣きのギターであるのに対して、エリック・クラプトンは大人の泣きのギターという感じがします。
今回あげた10人のギタリストの中では最も大衆性があるかもしれません。
エリック・クラプトンおすすめの泣きの名曲は、「いとしのレイラ」「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」「リヴァー・オブ・ティアーズ」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑤~リッチー・ブラックモア
リッチー・ブラックモアもマイケル・シェンカー同様に、普通にメロディーを奏でていながら泣きのギターになっているタイプのギタリストだと思います。
そして、バラード調の曲が少ないのもマイケル・シェンカーと共通しています。
狂気のギタリストと呼ばれていましたが、本当はメロディー志向のギタリストでもあります。
リッチー・ブラックモアおすすめの泣きの名曲は、「ソルジャー・オブ・フォーチュン」「メイビー・ネクスト・タイム」「キャント・レット・ユー・ゴー」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑥~ウリ・ジョン・ロート
クラシカル系の泣きのギターのおすすめギタリストの代表格ともいえるのが、ウリ・ジョン・ロートです。
クラシカルとはいえ、チョーキングやビブラートを駆使しての泣きはブルース系のギタリストとなんら変わることはなく、1音1音正確で美しい泣きのギター・ワールドを展開しています。
ブルースからスタートしましたが、クラシカル路線を追求する独自の音楽を追求するオンリーワンなギタリストといえます。
ウリ・ジョン・ロートおすすめの泣きの名曲は、「ウイ・ウィル・バーン・ザ・スカイ」「フライ・トゥ・ザ・レインボー」「スカイ序曲」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑦~ブライアン・メイ
近年、映画「ボヘミアン・ラプソディー」のブレイクにより人気大沸騰のクイーンのブライアン・メイも泣きのギタリストの名手です。
特にテクニカルなギタリストというわけではないかもしれませんが、楽曲に合わせたソロ・プレイは秀逸といえます。
クイーンの数々の名曲で、印象的なプレイを残しています。
ブライアン・メイおすすめの泣きの名曲は、「ボヘミアン・ラプソディー」「Somebody To Love(愛にすべてを)」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑧~ランディ・ローズ
ランディ・ローズは、ブラック・サバス脱退後のオジー・オズボーン・バンドの初代ギタリストで、若くして不慮の飛行機事故で亡くなりました。
クラシックギターの講師まど務めるほどクラシックに造詣の深いギタリストで、流れるような美しいフレージングはランディ・ローズならではのものがあります。
ランディ・ローズおすすめの泣きの名曲は、「ミスター・クロウリー」「グッバイ・トゥ・ロマンス」「レヴェレイション <天の黙示>(マザー・アース)」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑨~イングヴェイ・マルムスティーン
イングヴェイ・マルムスティーンもランディ・ローズと同じくクラシカル系の泣きのギターの名手です。
速弾きばかりが脚光を浴びるギタリストですが、イングヴェイからしか出てこないメロディーが確かにあります。
ビブラートの揺れやトーンもきれいだし、速弾きの中でもギターが歌っているというところが凄いといえます。
イングヴェイ・マルムスティーンおすすめの泣きの名曲は、「ブラザーズ」「セイブ・アウア・ラブ」「ドリーミング」などです。
泣きのギターのおすすめギタリスト⑩~エイドリアン・ヴァンデンバーグ
エイドリアン・ヴァンデンバーグは、ヴァンデンバーグ~ホワイトスネイク~ヴァンデンバーグズ・ムーンキングスの活動で知られるギタリストです。
クラシカル系のギタリストだと思っていましたが、実はブルース・ロックが好きなギタリストでもあります。
しかし、泣きのギターとなるとブルースというよりクラシカルな印象が強く、マイケル・シェンカーを感じさせるメロディーはやはりヨーロッパのギタリストであることを感じさせます。
エイドリアン・ヴァンデンバーグおすすめの泣きの名曲は、「バーニング・ハート」「ディファレント・ワールド」「ハウ・ロング」などです。
泣きのギターとはどんな意味~まとめ
今回は、泣きのギターとはどんな意味なのか、さらにおすすめのギタリストと名曲も紹介してきました。
泣きのギターに正確な定義はないが、チョーキングや音の伸びを活かしたビブラートなどを巧みに駆使したギターによる感情表現を泣きのギターという意味があると思います。
速弾きとは対極に位置するように思われますが、強烈な感情表現であることは間違いないでしょう。
おすすめのギタリスト10人とそれぞれの泣きの名曲を紹介してきましたが、いずれもチョーキングやビブラートなどを自己表現の手段としてうまく使っています。
もちろんここに紹介した以外にも泣きのギタリストはたくさんいるので、いろいろと聞いてみるのがおすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
ブルースないしロック系で「泣きのギター」というための要素は
まず、トーンがゼロないしそれに準じる状態のこもった音色(ワウでこもらせたのも含む)
次がチョーキングとビブラート
でしょう。旋律は微妙なところですが、直接には関係しないと思います。
理由は、元々「泣き」というのは「ウーマントーン」=女の忍び泣きの声みたいな音色、という意味だからです。泣くのは奏者であって聴き手ではありません。
以上は70年代後半から80年代前半にかけてロックを聴き、そのライナー、雑誌を読みまくった私の記憶による考えです。因みに、私が読んだもので「泣き」「ウーマントーン」という言葉が使われていたのはクラプトンかコゾフが最初です。その後はウリ・ロートくらいですかね。