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ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」の感想!

レインボーがあっけなく空中分解してしまい、その後の活動が注目されていたリッチー・ブラックモアであるが、かねてから好きだったルネサンス音楽をテーマにしたアルバム制作についに取りかかる。

レインボーでもなくディープ・パープルでもない、そのバンドがブラックモアズ・ナイトである。

そしてリリースされた・デビュー・アルバムが、この「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」である。

今回は、ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」の感想を綴ってみたいと思う。

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ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」

このブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」を制作する頃のリッチー・ブラックモアの状況を見てみよう。

ディープ・パープルもレインボーもシンガーをはじめとするメンバーとの確執の末、その活動にピリオドを打っている。

それまでのキャリアのすべてと言っても過言ではない2大バンドが白紙の状態となり、メンバー探しにも疲れ、そばにいるのが同じルネサンス趣味を持つキャンディス・ナイトであれば、この音楽をやろうと思うのも自然な流れだったのではないだろうか?

つまり、条件が揃ったということだ。

しかし、それでもシンガーに現在の妻であるキャンディス・ナイトを起用したのは大きなサプライズではあった。

まさかまさかの展開で、いわば自身の趣味の延長線上にあるともいえるこの「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」であるが、それまでのリッチー・ブラックモアのイメージを覆すアルバムとして興味津々リリースを待ったのを覚えている。

ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」の収録曲とメンバーは、以下の通り。

「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」  ブラックモアズ・ナイト

収録曲
1.シャドウ・オブ・ザ・ムーン(Shadow Of The Moon)
2.ザ・クロック・ティックス・オン(The Clock Ticks On)
3.ビー・マイン・トゥナイト(Be Mine Tonight)
4.プレイ・ミンストレル・プレイ(Play Minstrel Play)
5.オーシャン・ジプシー(Ocean Gypsy)
6.ミンストレル・ホール(Minstrel Hall)
7.マジカル・ワールド(Magical World)
8.ライティング・オン・ザ・ウォール(Writing On The Wall)
9.ルネッサンス・フェア(Renaissance Faire)
10.メミンゲン(Memmingen)
11.ノー・セカンド・チャンス(No Second Chance)
12.モンド・タンツ(Mond Tanz)
13.スピリット・オブ・ザ・シー(Spirit Of The Sea)
14.グリーンスリーヴス(Greensleeves)
15.ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア(Wish You Were Here)

メンバー
ギター、マンドリン&ベース:リッチー・ブラックモア
ヴォーカル:キャンディース・ナイト
キーボード:パット・リーガン
リコーダー、トランペット&フレンチホーン:ゲラルド・フラッシュマン
チェロ:トム・ブラウン
ヴィオラ&ヴァイオリン:レディー・グリーン

1997年の発表。

ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」の感想

仕上がったアルバムは秀逸でルネサンスの香りにあふれ、リッチー・ブラックモアの世界観で満たされている。

それまでほとんどアコースティック・ギターによるプレイは披露していなかったこともあり、どんなプレイを聞かせてくれるかと思っていたが、エレクトリック・ギターと大して変わっていない。

もちろんサウンドやエレクトリック・ギターでしかできないプレイはやってないが、インプロビゼーションを主体としたプレイはアコースティック・ギターに持ちかえても基本的には同じだ。

ただ、ミスも出やすく集中力も要求されるため、より丁寧に弾いているように思われる。

当時、バラードをやりたいと発言していたこともあり、バラード曲におけるメロディアスかつエモーショナルなプレイは本作の聞きどころのひとつだろう。

リッチー・ブラックモアの真価

リッチー・ブラックモアというギタリストの真価は、その曲に合わせたプレイをすることにあると思うのだが、「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」は、その意味においても傑作と呼べるアルバムで、どの曲においても実に味わい深いプレイが展開されている。

テクニカルなプレイは影を潜め、曲を引き立たせるような、あるいは曲の一部のようなプレイに終始している。

曲調もそうなのだが、これまでロックな部分が好きだったファンには到底受け入れられるものではないだろう。

レインボーのポップ化どころの比ではない。

ここが賛否両論の原因と思われるが、仕方のないことだろう。

これがリッチー・ブラックモアがやりたかったことなのである。

好きな音楽を好きな人とやるという理想的な環境を手にした今は音楽人生で一番幸せな状態にあるといえる。

リッチー・ブラックモアというミュージシャンは、やりたくない音楽をやらされれば真価を発揮しない人である。

ルネサンス音楽をやりたいのであれば、その音楽をやった時にこそ一番いいプレイをするのは目に見えている。

しかし、よく聞いてみると使う楽器は変わったが曲の構成自体はこれまでのロックと変わらないのも事実である。

つまり、イントロ(リフorアルペジオ)から始まり、歌が入り、間奏(ギター・ソロ)があり、また歌があり…という具合だ。

乱暴に言ってしまえば、変わったのは、曲がルネサンス調であることとサウンドだ。

そう思って聞けばあまり違和感ないんじゃないかともいえる。

ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」~まとめ

今回は、ブラックモアズ・ナイト「シャドウ・オブ・ザ・ムーン」の感想を綴ってみた。

こうして誕生したブラックモアズ・ナイトであるが、当初は一時的なプロジェクトでまたロックに戻るだろうと思われていた。

がしかし、その後19年に渡り、リッチー・ブラックモアはブラックモアズ・ナイトの活動に専念し、昨年レインボーがライブを行うまでロックには戻らなかった。

ある意味では、安住の地を得たのであろう。

70歳を過ぎた今、ロックを要求するのも酷というものだ。

これからもルネサンス音楽を追い続ける旅は続いていくだろうが、その始まりとして最もピュアなアルバムともいえる「シャドウ・オブ・ザ・ムーン 」は忘れることのできない名盤だ。

ロックしか聞かない方、クラシックしか聞かない方にもぜひ一度聞いていただければと思う。

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