11月30日小雨ぱらつく夕方、紀尾井ホールに向かった。
山下和仁の演奏を聞くためである。
実に30年ぶりである。
思えば学生時代、クラシック・ギターのレッスンを受けていた頃、初めてそのコンサートで生演奏を体験し、大変な衝撃を受けた記憶がよみがえる。
筆者にとって山下和仁といえば、その桁外れのダイナミックな音や他の楽器のクラシック・ギターへの編曲などクラシック・ギターの次元を超えた存在としてずっと特別なギタリストであった。
その後、筆者が音楽から離れていたこともあり、かなりの空白期間ができてしまった。
山下和仁コンサート
会場はほぼ満席で熱気に満ちていた。
定刻になり間もなく開演したが、音が鳴った瞬間に「あぁ、この音だ!」と感慨深いものがあった。
ダイナミックな音、1音1音に込める魂、そして海の底まで沈んでいくんじゃないかという集中力…あの頃と何も変わっていない。
いささかの衰えも見せないその姿になんだかとてもうれしくなった。
しかも今回は、娘さんとのデュオもあり、ソル、ヴィヴァルディの協奏曲やリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」と親子で息の合った演奏を聞かせてくれた。
娘さんの音も親譲りのなかなかダイナミックな音だった。
間違いなく山下和仁のDNAを受け継いでいる。
30年経てば人間取り巻く環境も変わるものだが、山下和仁もファミリーを率いてコンサートをするようになっていたのだ。
山下和仁はクラシック・ギターの次元を超えた存在
今回のリサイタルで再確認したのが、やはり山下和仁はクラシック・ギターの次元を超えた存在だということだ。
何かハード・ロックに通じるエキサイトメントを感じるのだ。
おそらくはオーケストラ用の曲にチャレンジしたり、他のジャンルのギタリストと共演したりする積極性がロック魂に共通するところがあるのだろう。
筆者がハード・ロック好きという部分もあるかもしれないが…。
山下和仁コンサート~まとめ
演奏する機会は以前より少なくなっていると思われる山下和仁であるが、まだ聞いていない方は、ぜひとも体験していただきたいギタリストである。
現代のクラシック・ギター界はテクニックもレベルアップしているとは思うが、今なお健在の超絶技巧とマイクなしでもどこまでも響き渡るようなダイナミックな音はこのギタリストの真骨頂である。
幸い来年も東京でのリサイタルが決まっているようである。
残念ながら全国ツアーのような規模の大きなものは期待できそうにないので、行けるリサイタルは聞き逃さないようにするしかないだろう。
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