レインボーの「ファイナル・ヴァイナル」は、すでに解散していたレインボーがリリースしたベストアルバムで、3人の歴代シンガーをアルバム1枚で聞くことができる。
しかも収録曲のほとんどがライブ・バージョンということで、通常のライブアルバムとは異なる異色のベストアルバムといっていいだろう。
レインボーのベストアルバムは数多くリリースされているが、リッチー・ブラックモアにどんな意図があっての制作だったのか、興味深いベストアルバムだ。
今回は、ライブのベストアルバムとしておすすめのレインボーの「ファイナル・ヴァイナル」の感想を語ってみたいと思う。
レインボーのファイナル・ヴァイナル
レインボーの「ファイナル・ヴァイナル」は、80年代レインボーがディープ・パープル再結成のために解散した後リリースされたライブ・バージョンを中心としたベストアルバムである。
収録曲のほとんどがライブ・バージョンであるが、シングルのB面曲だったアルバム未収録のスタジオ録音の曲も数曲収録されている。
「ファイナル・ヴァイナル」では歴代のシンガー3人をはじめ、レインボーのかなりの数の歴代メンバーのプレイを聞くことができる。
レインボー「ファイナル・ヴァイナル」の収録曲とメンバーは、以下の通り。
「ファイナル・ヴァイナル」 レインボー
収録曲
1.スポットライト・キッド(Spotlight Kid)
2.アイ・サレンダー(I Surrender)
3.ミス・ミストゥリーテッド(Miss Mistreated)
4.ストリート・オブ・ドリームス(Street of Dreams)
5.ジェラス・ラヴァー(Jealous Lover)
6.キャント・ハプン・ヒア(Can’t Happen Here)
7.テアリン・アウト・マイ・ハート(Tearin’ Out My Heart)
8.シンス・ユー・ビーン・ゴーン(Since You Been Gone)
9.バッド・ガール(Bad Girl)
10.治療不可(Difficult to Cure)
11.ストーン・コールド(Stone Cold)
12.パワー(Power)(1982年8月18日 ライヴ)
13.銀嶺の覇者(Man on the Silver Mountain)
14.ロング・リヴ・ロックン・ロール(Long Live Rock’ n’ Roll)
15.ワイス・ハイム(Weiss Heim)
1~4・10.東京・日本武道館でのライブ1984年3月14日
5.スタジオ・バージョン(ヴォーカル:ジョー・リン・ターナー)
6.アメリカ・ボストンでのライブ(1981年5月7日)
7・11・12.アメリカ・テキサスでのライブ(1982年8月18日)
8.イギリス・ドニントン「モンスターズ・オブ・ロック」でのライブ(1980年8月16日)
9.スタジオ・バージョン(ヴォーカル:グラハム・ボネット)
13・14.アメリカ・アトランタでのライブ(1978年6月23日)
15.スタジオ・バージョン(インストゥルメンタル)
メンバー
ギター:リッチー・ブラックモア(All Track)
ヴォーカル:
ジョー・リン・ターナー(1~7・11・12)
グラハム・ボネット(8・9)
ロニー・ジェイムス・ディオ(13・14)
ドラムス:
チャック・バーギ(1~4・10)
ボビー・ロンディネリ(5~7・11・12)
コージー・パウエル(8・9・13~15)
キーボード:
デイヴ・ローゼンサル(1~4・7・10~12)
ドン・エイリー(5・6・8・9・15)
デヴィッド・ストーン(13・14)
ベース:
ロジャー・グローヴァー(1~12・15)
ボブ・デイズリー(13・14)
オーケストラ:新日本フィルハーモニー交響楽団(10)
1986年の発表。
レインボーのファイナル・ヴァイナルの感想
レインボーはライブバンドであり、ライブでこそ本領を発揮すると信じて疑わなかったことから、解散後にライブ・バージョン中心のベストアルバムがリリースされると聞いてとても楽しみにしていた記憶がある。
選曲もよく曲順にしてもライブのオープニングからエンディングを意識したような構成になっており、よく考えられていると思う。
ちょっとジョー・リン・ターナーに比重が置かれていて、ロニー・ジェームズ・ディオ時代の曲数が少ないのが不満だったが、ロニー時代のライブではアルバムとしては「オン・ステージ」、映像作品としては「ライブ・イン・ミュンヘン1977」という2大傑作があるのでそちらでということかもしれない。
プレイもいいので「ファイナル・ヴァイナル」はリリース後はずいぶんと聞きまくっていたものだが、途中にスタジオ録音の曲を挟んでいるのが残念なところで、いったんブレイクタイム的になってしまう。
むしろスタジオ録音の曲は最後にまとめて収録したほうがよかったかもしれない。
しかし、このスタジオ録音の曲がどれも秀逸でなぜ、当時リリースのアルバムに収録されなかったのかわからないほどの出来だ。
特にラストを飾る「ワイス・ハイム(Weiss Heim)」は、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア・ハ長調」を引用してリッチー・ブラックモアのベストともいえるプレイが聞ける。
レインボーのファイナル・ヴァイナルはライブのベストアルバム
上述したようにレインボーはライブバンドであり、ライブでこそ本領を発揮するバンドであることから、この「ファイナル・ヴァイナル」はレインボーの本質を捉えられているという点でおすすめだ。
音質も各年代ごとにバラつきもあり1曲ずつフェードアウトしていくのが残念な点だが、それでもレインボーの場合は通常のスタジオ・テイクで構成されたベストアルバムより「ファイナル・ヴァイナル」をおすすめしたい。
そして、「ファイナル・ヴァイナル」を気に入ったなら次におすすめしたいのが、3人のシンガーのそれぞれのライブアルバムや映像作品だ。
特に「ファイナル・ヴァイナル」でのジョー・リン・ターナーのバージョンは、1~4・10が「ライヴ・イン・ジャパン1984」、7・11・12が「ライヴ・ビトウィーン・ジ・アイズ&ザ・ファイナル・カット」、グラハム・ボネットは8が「モンスターズ・オブ・ロック・ドニントン1980」からのバージョンとなっている。
以下にそれぞれのライブ作品を紹介するので、ぜひとも楽しんでいただきたい。
ジョー・リン・ターナー
「ライヴ・イン・ジャパン1984」
「ライヴ・ビトウィーン・ジ・アイズ&ザ・ファイナル・カット」
グラハム・ボネット
「モンスターズ・オブ・ロック・ドニントン1980」
ロニー・ジェームズ・ディオ
「オン・ステージ」
「ライブ・イン・ミュンヘン1977」
レインボーのファイナル・ヴァイナルの感想~まとめ
今回は、ライブのベストアルバムとしておすすめのレインボーの「ファイナル・ヴァイナル」の感想を語ってきた。
ライブでこそ本領を発揮するレインボーだからライブ・バージョン中心の「ファイナル・ヴァイナル」は通常のスタジオ・テイクで構成されたベストアルバムよりおすすめである。
また、目立たないが数曲のスタジオ録音の曲も秀逸で、特に「ワイス・ハイム(Weiss Heim)」は、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア・ハ長調」を引用してリッチー・ブラックモアのベストともいえるプレイが聞ける。
レインボーの歴史をたどるという意味でも「ファイナル・ヴァイナル」はうってつけのアルバムで、気に入ったらそれぞれのシンガーのフルのライブアルバムや映像作品も楽しんでいただければと思う。
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