ロックとクラシックはまるで性格の異なる音楽ジャンルのように思われているところがあります。
確かに音楽性やルックスなどの違いが対照的に見えるのは間違いありません。
しかし、案外、相性がいいのも事実で、過去から現在に至るまでロックとクラシックの融合を試みたバンドやギタリストは少なくありません。
ロックとクラシックの違いを知った上で、融合させた作品を聞いてみるのもおもしろいのではないでしょうか?
今回は、「ロックとクラシックの違いは?音楽性や演奏技術などを徹底比較!」と題して、ロックとクラシックの違いについて見ていきます。
ロックとクラシックの違い
ロックとクラシックの違いは、何なのかをまず知ることから始めてみましょう。
音楽性の違いはどこからきているのか、ロックとクラシックの演奏に大切なのは何なのでしょうか?
言われなくてもわかるような単純なものから、わかっていてもなかなか難しいものまでロックとクラシックの違いはその歴史的な部分にまで及んでいます。
ロックとクラシックの違い①~サウンド
まず、何と言ってもロックとクラシックの最もわかりやすい違いは、サウンドでしょう。
アコースティック楽器を用いるクラシックに対して、電気で音を増幅できるロックではそもそも音の大きさがまるで違います。
迫力あるサウンドはロックの長所ですが、ノイズが多いのがデメリットともいえます。
ノリのいいロック、繊細な表現のクラシックということになるでしょうか。
ロックとクラシックの違い②~ルーツ
それと、ロックとクラシックではルーツが、まるで異なります。
ひとことにロックと言ってもいろいろありますが、もともとはアメリカ発でブルースをベースにし、その後、イギリスに渡って発展してきた音楽です。
これに対して、クラシックはヨーロッパ発で教会音楽から始まり、長い歴史があり、アメリカなど世界に広まりました。
極端に言ってしまえば、ロックは黒人の音楽、クラシックは白人の音楽がベースともいえます。
ロックとクラシックの違い③~グルーブ(ノリ)
音楽にはそれぞれのジャンルでグルーブ(ノリ)と呼ばれるものがありますが、クラシックではあまり聞くことはありません。
もっぱらロックでよく聞かれる言葉ですが、リズム的にはロックは裏ノリといわれ、拍の位置が異なります。
裏にアクセントがあるということなのですが、クラシックとはまるで異なるグルーブ(ノリ)になります。
ジャンルは違えど、このグルーブ(ノリ)をうまくつかんだ演奏ができるかどうかは非常に大事なポイントかと思います。
ロックとクラシックの演奏技術
ロックとクラシックの演奏技術は、ロックの演奏技術が上がった今でもクラシックのほうが上でしょう。
ギターを例にすると、速弾きをする場合、クラシックは指弾きで伴奏もしながらこなしますがロックはピックで単音で弾くことになります。
かなりロックが有利に思えますが、それでもやはりクラシックのギタリストにはかなわないし、恐ろしいくらい正確です。
しかもクラシックギターのほうが、ロックギターよりいろいろな面で明らかに弾きづらいのは間違いありません。
ロックギターとクラシックギターでは同じギターでも違う楽器というぐらい機能や奏法が異なりますが、演奏技術の差は明らかです。
ただ、だからといっていい演奏に直結するかというと別問題で、演奏技術よりも上述したジャンルごとのグルーブ(ノリ)をつかんでいるかどうかが大きいといえます。
演奏技術=音楽性とは限りません。
ロックとクラシックを融合したバンド・ギタリスト
ロックをクラシックに取り入れた例があるのかどうかはわかりませんが、クラシックをロックに取り入れた例はいくつかあります。
ロックとクラシックの融合です。
歴史上、ロックとクラシックを融合した最初の例は1969年のディープ・パープルだと思いますが、その後、徐々に試みが増え始め、80年代にはイングヴェイ・マルムスティーンの登場によって一大ブームを巻き起こしています。
今回は、ロックとクラシックを融合したバンド・ギタリストを3例、挙げてみます。
ロックとクラシックの融合①~ディープ・パープル
「ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ」
収録曲
1. 第1楽章
2. 第2楽章:パート1 アンダンテ
3. 第2楽章:パート2
4. 第3楽章
指揮:マルコム・アーノルド
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
1969年の発表。
1969年9月24日、ロイヤル・アルバート・ホールでのライブですが、ジョン・ロード作曲による3楽章からなる楽曲はまさにクラシックの様式で書かれたものです。
それをロックバンドとオーケストラで演奏した、まさに本格的なロックとクラシックの融合といえます。
若かりし頃の第2期ディープ・パープルだけにバンドのソロコーナーとなれば、ロックのライブ同様のハイテンションな演奏を聞くことができます。
1999年、30周年を記念して同じロイヤル・アルバート・ホールでロンドン交響楽団と再演されています。
ロックとクラシックの融合②~ウリ・ジョン・ロート
「トランセンデンタル・スカイ・ギター~天上の至楽 」 ウリ・ジョン・ロート
収録曲
CD1~第1部(フェニックス)
1. スカイ序曲
2. トルコ行進曲
3. 望郷
4. 雷鳴と稲妻
5. ババ・ヤーガの小屋
6. 天地震動(ニュー・ヴァージョン)
7. タイスの瞑想曲
8. パガニーニ・パラフレーズ
9. 妖精の踊り
10. ベートーヴェン・パラフレーズ
11. アルハンブラの想い出
12. アランフェス
CD2 ~第2部(龍)
1. ヒロシマ
2. ヴィラノヴァ・ジェム
3. ヴードゥー・チャイル
4. ストーミィー・パッセージ
5. ジプシー・チャールダーシュ
6. スペイン幻想
7. フリーフロウ・ジェム
8. パガニーニ風スケルツォ
9. アトランティス
10. ターン・ザ・タイム
11. 事象の地平線
12. マイティー・ウィング・カデンツァ2000
13. バッハのマリア
2007年の発表。
ウリ・ジョン・ロート作曲のクラシカル・ナンバーからクラシックの名曲、そしてジミ・ヘンドリックスのカバーまで収録しています。クラシックだけではなく、独自の解釈でロックとクラシックを融合しています。
ロックとクラシックの融合③~イングヴェイ・マルムスティーン
エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲 変ホ短調「新世紀」 イングヴェイ・マルムスティーン
収録曲
1. イカロス・ドリーム・ファンファーレ
2. キャヴァリーノ・ランパンテ
3. フーガ
4. プレリュード・トゥ・エイプリル
5. トッカータ
6. アンダンテ
7. サラバンド
8. アレグロ
9. アダージョ
10. ヴィヴァーチェ
11. プレスト・ヴィヴァーチェ
12. フィナーレ
ギター:イングヴェイ・マルムスティーン
指揮: ヨエル・レビ
管弦楽:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1998年の発表。
エレクトリック・ギターをヴァイオリンやピアノのようにソロ楽器とする協奏組曲で、様式は完全なるクラシックです。
作曲もイングヴェイ自身による自作自演の一大プロジェクトで、実際にライブも行われています。
筆者もその東京公演を観ましたが、ロックの時よりもていねいにギターをプレイするイングヴェイが印象的でした。
相当な達成感があったのか、終演後はすこぶる満足気でした。
ロックとクラシックの違い~まとめ
今回は、「ロックとクラシックの違いは?音楽性や演奏技術などを徹底比較!」と題して、ロックとクラシックの違いについて見てきました。
ロックとクラシックの違いは、サウンド・ルーツ・グルーブ(ノリ)など音楽性が異なり、演奏技術は今でもクラシックが上と思われます。
・サウンド
・ルーツ
・グルーブ(ノリ)
しかし、演奏技術=音楽性とは限らないのがおもしろいところで、そのジャンルのグルーブ(ノリ)をつかんでいないと魅力的な演奏とはなりにくいといえます。
ロックとクラシックの融合を試みたバンド・ギタリストもいますが、ロックをクラシックに取り入れた例はないのではないでしょうか。
いくつかあげたので興味があったら、ぜひ聞いていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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