レインボーのデビュー・アルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」を久しぶりに聞いてみた。
今思えば、ディープ・パープルを脱退したリッチー・ブラックモアが相当な覚悟で作ったであろう「銀嶺の覇者」だが、次作の「虹を翔る覇者(レインボー・ライジング)」が最高傑作として名高いせいか、いまひとつ印象の薄い目立たないアルバムになっている。
しかし、アルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」からは、その数十年後のブラックモアズ・ナイトでも数多くリメイクされていることからも実は大変重要なアルバムであったことがわかる。
今回は、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのデビュー・アルバム 「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」の感想を綴ってみたいと思う。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者」
リッチー・ブラックモアは70年代ディープ・パープル在籍末期に、ツアーで前座を務めていたエルフのヴォーカル、ロニー・ジェームズ・ディオを気に入っていたこともあり、当時ディープ・パープルでレコーディングすることを拒否された3曲目「黒い羊(ブラック・シープ・オブ・ザ・ファミリー)」をエルフとレコーディングすることを決意する。
最初はシングルのみの予定だったが、B面用の曲として8曲目「16世紀のグリーンスリーヴス(Sixteenth Century Greensleeves)」をロニー・ジェームズ・ディオと共作したところ相性の良さに気付き、アルバム制作にまで発展したというのが経緯である。
渡りに舟だったのか、最初からそのつもりだったのかはわからないが、こうしてリッチー・ブラックモアはディープ・パープルに別れを告げ、レインボーをスタートさせる。
そしてこれがこの後10年近く続く伝説の幕明けとなった。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」の収録曲とメンバーは、以下の通り。
「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」 リッチー・ブラックモアズ・レインボー
収録曲
1.銀嶺の覇者(Man On The Silver Mountain)
2.自画像(Self Portrait)
3.黒い羊(ブラック・シープ・オブ・ザ・ファミリー)(Black Sheep Of The Family)
4.虹をつかもう(Catch The Rainbow)
5.へび使い(Snake Charmer)
6.王様の神殿(The Temple Of The King)
7.もしもロックがきらいなら(If You Don’t Like Rock ‘N’ Roll)
8.16世紀のグリーンスリーヴス(Sixteenth Century Greensleeves)
9.スティル・アイム・サッド(Still I’m Sad)
メンバー
ギター:リッチー・ブラックモア
ヴォーカル:ロニー・ジェームズ・ディオ
ベース:クレイグ・グルーバー
ドラムス:ゲイリー・ドリスコール
キーボード:ミッキー・リー・ソウル
1975年の発表。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者」の感想
このリッチー・ブラックモアズ・レインボーの「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」を聞いて気づいたことがあるのだが、後のブラックモアズ・ナイトでカバーされた曲が非常に多い。
2曲目「自画像(Self Portrait)」と6曲目「王様の神殿(The Temple Of The King)」はスタジオ・アルバムでカバーされ、8曲目「16世紀のグリーンスリーヴス(Sixteenth Century Greensleeves)」はライブ・アルバム「Past Times With Good Company」でカバーされている。
また、アルバム収録こそないものの1曲目「銀嶺の覇者(Man On The Silver Mountain)」と9曲目「スティル・アイム・サッド(Still I’m Sad)」は1997年の来日公演などでもプレイされている。
これはリッチー・ブラックモアの中世嗜好がこのアルバム「銀嶺の覇者」によく表れていることの証明でもあり、いかにリッチー・ブラックモアがこのアルバムを気に入っているかということもいえるだろう。
やはり作曲パートナーのロニー・ジェームズ・ディオにも中世嗜好があり、このコンビでこそはじめて実現した音楽性ではないだろうか。
それが巡り巡ってブラックモアズ・ナイトで再現されるのだから世の中はどうなるのかわからない。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者」のサウンド
続いて、アルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」のサウンドについてだが、これが個人的にはあまり好きじゃない。
なぜって、まるで生命力がなくハード・ロックのグルーヴが感じられないから。
リッチー・ブラックモアというミュージシャンはライブで本領を発揮するタイプのミュージシャンであり、ディープ・パープル時代からスタジオ・バージョンとライブ・バージョンには天と地ほど(?)の違いがある。
このアルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」はまさにそれが顕著に出たアルバムで、リッチー・ブラックモアの作ったアルバムの中で最もその傾向が強いと思う。
後にリリースされる「レインボー・オン・ステージ」と聞き比べてみると明らかだ。
「レインボー・オン・ステージ」には、このアルバムから「銀嶺の覇者(Man On The Silver Mountain)」、「虹をつかもう(Catch The Rainbow)」「16世紀のグリーンスリーヴス(Sixteenth Century Greensleeves)」「スティル・アイム・サッド(Still I’m Sad)」が収録されているが、まるで別の曲のように生命力が宿っている。
このアルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」リリース後、ロニー・ジェームズ・ディオ以外のメンバーを解雇し、ドラマーにコージー・パウエルを入れたことも大きいがあまりにも違いすぎる。
また、この違いがこのアルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」が名盤であるにもかかわらず、印象の薄いアルバムにしている要因にもなっているような気がしてならない。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」で残念なのは、このサウンドだけである。
リッチー・ブラックモアズ・レインボー「銀嶺の覇者」~まとめ
今回は、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのデビュー・アルバム 「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」の感想を綴ってみた。
今もなおレインボーやブラックモアズ・ナイトでカバーされるだけあって、このアルバム「銀嶺の覇者(Ritchie Blackmore’s Rainbow)」は名曲揃いの名盤である。
にもかかわらず印象が薄いのは、「虹を翔る覇者(レインボー・ライジング)」と比較して地味なサウンドが影響していると思われる。
数十年たった今でも曲は十分に通用するから、個人的にはライブ・バージョンで楽しんでいる。
まだ聞いていない方は1度は聞いておきたいアルバムだ。
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