クラシックのギタリストだと思っていた木村大が、自身がリスペクトするロック・ポップス系のアーティストをトリビュートしたアルバムがリリースされるというので興味を持って聞いてみた。
タイトルは「HERO」で、特にロック好きにはなかなか楽しめる1枚なのではないだろうか。
今回は、木村大の音楽観と人柄がにじみ出た好盤「HERO」について見ていきたいと思う。
木村大「HERO」
木村大のアルバム「HERO」はタイトル通り、木村大がリスペクトするアーティスト(=HERO)へのトリビュートともいえるアルバムだ。
オープニングとエンディングは木村大のオリジナル曲であるが、その他は全曲、ロックの大御所たちを中心とした曲となっている。
木村大「HERO」の収録曲は、以下の通り。
「HERO」 木村大
収録曲
1. エアーズ・ロック(木村大)
2. スパニッシュ・フライ(ヴァン・ヘイレン)
3. 紫の煙(ジミ・ヘンドリックス)
4. フラジャイル(スティング)
5. ディー(ランディ・ローズ)
6. インスピレーション(ジプシー・キングス)
7. ラヴィン・ユー(ミニー・リパートン)
8. ブロン・イ・アー(レッド・ツェッペリン)
9. チェンジ・ザ・ワールド(エリック・クラプトン)
10. ベックス・ボレロ(ジェフ・ベック)
11. 賢人(エマーソン、レイク&パーマー)
12. アース(木村大)
2013年の発表。
木村大「HERO」~ロックを聞いて育った?!
気になる選曲であるが、冒頭の「Ayers Rock」と最後の「earth」が木村大のオリジナル曲。
この2曲に挟まれて、ヴァン・ヘイレン、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックなどロック・ポップスの大御所の名曲が並ぶ。
まさか木村大がこれらの曲を聞いて育ったとは⁈
嬉しい驚きであった。
これらの名曲を自身のアレンジで自由に弾いている。
木村大「HERO」の感想~ジャンルにこだわらない木村大
そこには、クラシックが持つ堅苦しさのようなものは一切なく、自分の音楽観に正直に向き合っている姿があった。
アレンジもプレイも秀逸で、原曲の魅力を損なうことなく、音楽への独自のアプローチを見せてくれている。
まるで新たな境地を切り開こうとしているような姿勢に1ロックファンとして、とても好感が持てる。
超絶技巧を持っているにもかかわらず、なぜかとても親近感があって、なんというか距離の近さを感じる。
クラシックのギタリストとしての生い立ちではあるものの木村大自身の中には、クラシックとかロックとか、そういうジャンル分けは存在しないのではないか?
そんなことを思わせてくれるアルバムだ。
木村大「HERO」の感想~まとめ
今回は、木村大の音楽観と人柄がにじみ出た好盤「HERO」について見てきた。
この「HERO」で木村大に興味を持った筆者は、その後、幸いにも生演奏にも接することができた。
予想通り、そこにはジャンルを超えた木村大の音楽観がステージいっぱいに展開されていた。
そこにはギター、ピアノ、パーカッションという構成で、音楽を目一杯楽しむ姿があった。
音楽はこうでなくちゃ、と思わせるものであった。
サイン会でサインもしてもらったのだが、気さくな人柄で音楽同様、とても好感が持てた。
クラシックのファンがこの「HERO」をどう感じるかはわからないが、ロックのファンには楽しめるアルバムだと思う。
ソロギターでロックを聞いてみたいと思う方には真っ先におすすめしたいアルバムだ。
木村大というギタリストの音楽観と人柄が実によく反映された好盤である。
コメント