筆者は、あまりフラメンコには詳しくないのだが、フラメンコの持つパッションがハード・ロックのそれに共通するものを感じ、ちょくちょくフラメンコ・ギターの演奏を聞いている。
そしてフラメンコ・ギターといえば、この人”灼熱のギタリスト”パコ・デ・ルシアである。
伝統的なフラメンコギターの演奏が好きな筆者が、数あるパコ・デ・ルシアの名盤の中でもよく聞いているのが、この「ライヴ」パコ・デ・ルシアである。
今回は、この❝灼熱のギタリスト❞パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」について見ていきたいと思う。
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」は、1974年マドリードのテアトロ・レアル(王立劇場)でのソロ・リサイタルを録音したアルバムである。
収録曲は8曲だが、フラメンコの伝統的な形式でパコ・デ・ルシアのギターが炸裂するという、いわば独壇場ともいえるライヴとなっている。
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」の収録曲は、以下の通り。
「ライヴ」 パコ・デ・ルシア
収録曲
1. アレグリアス(Alegrias)
2. タランタス(Tarantas)
3. グラナイーナス(Granainas)
4. サバテアード(Zapateado)
5. ソレア(Solea)
6. ファンダンゴス(Fandangos)
7. グァヒーラス(Guajiras)
8. ルンバ(Rumba)
1974年の発表。
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」
フラメンコという民族音楽は、どこか津軽三味線と似たような感性というかパッションがあるように思える。
曲にもよるが、懐かしい土地を思い出すというかノスタルジックな思いに駆られる。
思えばフラメンコという民族音楽自体がインドに端を発するといわれるジプシーがスペインに辿り着いて、その土地の文化と結びつき生まれた民俗芸能なのだから、土地は違えど共通した何かがあるのだろう。
パコ・デ・ルシアがそんなことを考えて弾いているのかどうかはわからないが、おそらく本能から出てくるものがあるのだろう。
それがそのまま音に昇華されている。
天才的な閃きとでもいうのだろうか、最初から最後までずっと同じテンションで弾き切っている。
その後はいろいろな同じフラメンコでも試行錯誤を繰り返すようになったが、この「ライヴ」では飾り気のないストレートなフラメンコギターを聞くことができる。
パコ・デ・ルシア初期のライヴの名盤といえるだろう。
パコ・デ・ルシア”灼熱のギタリスト”が王立劇場に登場
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」は、1974年スペインはマドリードの「テアトロ・レアル(王立劇場)」での演奏であることは上述した通りだが、ここは普段はクラシック音楽ばかりで、その他のジャンルの演奏会が行われることはほとんどないらしい。
そこにフラメンコ・ギタリストであるパコ・デ・ルシアの演奏会が実現したのだから、いかに凄い出来事であったかがわかる。
CDから聞こえてくる歓声からもこの日の盛り上がりが伝わってくる。
「右手に伝統、左手に革新」をモットーに活動を続けてきたパコ・デ・ルシアであるが、ここでは伝統的でオーソドックスなフラメンコの形式で、スリリングかつエモーショナルな演奏を展開している。
パコ・デ・ルシアをはじめて聞いたのは、「スーパー・ギター・トリオ」における演奏であったが、今回のこの王立劇場での演奏のほうがフラメンコ本来の香りがして好みである。
パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」~まとめ
今回は、この”灼熱のギタリスト”パコ・デ・ルシア初期の名盤「ライヴ」について見てきた。
残念ながら、パコ・デ・ルシアは2014年、心臓発作により亡くなっている。
まだ66歳であった。
一度も生演奏に接する機会がなかったのが痛恨の極みであるが、フラメンコ・ギタリストといえばパコ・デ・ルシアという公式がこれからも続くことだろう。
フラメンコの発展のために革新を目指した ”灼熱のギタリスト”パコ・デ・ルシアであるが、その最もベースとなる純粋なフラメンコ・ギターの真髄がよく表れている1枚として、この「ライヴ」パコ・デ・ルシアは、忘れられない名盤である。
スリリングでエモーショナルなギターに興味ある方にぜひ聞いていただきたい1枚だ。
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