ジェフ・ベックのことは、もちろん知っていたし、アルバムもほとんど聞いてきた。
実際にジェフ・ベックがギターを弾く映像を見てそれまでは気づかなかったジェフ・ベックの魅力を感じた筆者はNHKで見たライヴの放送がDVDになって発売されていることを知り、早速購入した。
それが、この「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」である。
今回は、ジェフ・ベック初の映像作品となった「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」の感想を綴ってみたいと思う。
ジェフ・ベック「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」
筆者にとっては、当初はジェフ・ベックはトリッキーなギタリストという印象が強く、ロック・ギタリストでありながらジャズ・フュージョン風のプレイが多くてあまり馴染めないでいた。
そんなある日、NHK-BSでジェフ・ベックのライブが放送されるというので、とりあえず見てみようと思い、録画のセッティングをした。
よくよく考えたら、ジェフ・ベックのライブ映像ははじめてのような気がする。
これだけ長いキャリアがありながら、なんとも意外であるがライブ音源も極端に少ないなと感じる。
映像は、2007年11月27日から12月1日までの5日間、ロンドンの伝説的なジャズ・クラブ「ロニー・スコッツ」でのライヴを収録ものである。
ジェフ・ベック「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」の収録曲とメンバーは、以下の通り。
「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」 ジェフ・ベック
収録曲
1.ベックス・ボレロ(Beck’s Bolero)
2.エタニティズ・ブレス(Eternity’s Breath)
3.ストレイタス(Stratus)
4.哀しみの恋人達(Cause We’ve Ended As Lovers)
5.ビハインド・ザ・ヴェイル(Behind the Veil)
6.ユー・ネヴァー・ノウ(You Never Know)
7.ナディア(Nadia)
8.ブラスト・フロム・ジ・イースト(Blast From The East)
9.レッド・ブーツ(Led Boots)
10.エンジェル(フットステップス)(Angel (Footsteps))
11. ピープル・ゲット・レディ(People Get Ready)(with ジョス・ストーン)
12.スキャッターブレイン(Scatterbrain)
13.グッドバイ・ポーク・パイ・ハット/ブラシ・ウィズ・ザ・ブルース(Goodbye Pork Pie Hat/Brush with the Blues)
14.スペース・ブギー(Space Boogie)
16.ビッグ・ブロック(Big Block)
15. ブランケット(Blanket) (with イモージェン・ヒープ)
17.ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In The Life)
18. リトル・ブラウン・バード(Little Brown Bird) (with エリック・クラプトン)
19. ユー・ニード・ラヴ(You Need Love) (with エリック・クラプトン)
20. ローリン・アンド・タンブリン(Rollin’ And Tumblin’)(with イモージェン・ヒープ)
21.ホエア・ワー・ユー(Where Were You)
メンバー
ギター:ジェフ・ベック
ドラムス:ヴィニー・カリウタ
ベース:タル・ウィルケンフェルド
キーボード:ジェイソン・リベイロ
ゲスト出演
ギター:エリック・クラプトン(18&19)
ヴォーカル:ジョス・ストーン(11)
ヴォーカル:イモージェン・ヒープ(15&20)
2009年の発表。
ジェフ・ベック「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」の感想
これだけの大物ミュージシャンなので、大きな会場なのかと思ったらキャパ200人ほどの小さな会場でこれも驚きだった。
もっと驚いたのが、ジェフ・ベックのプレイである。
それまでトリッキーな印象が強かったのだが、ライブでは1音1音ていねいに魂を込めたプレイが続く。
さすが3大ギタリストと呼ばれるだけの人なんだなと思った。
それまでほとんどのアルバムを聞いていながらもこのライブを見るまで、ジェフ・ベックの本当の素晴らしさに気づかなかった自分はなんなんだろうと感じた。
いや、いいギタリストとは思ってはいたのだが、これほどいいとは感じていなかったのである。
まったく恥ずかしい限りだ。
言い訳させてもらえれば、ジェフ・ベックはスタジオよりライブで本領を発揮するタイプないだろうか?(だから気づけなかった?(^^;))
スタジオ盤では感じることができなかった天才的なパッションを感じた。
トリッキーなプレイはもちろん、ヴィブラート・チョーキングなどにおける表現力がとても豊かだ。
特筆すべきはアームを駆使しての音程のコントロールで、この技術による音の揺れを活かしたフレージングはジェフ・ベックの真骨頂だと思う。
加えてこの頃、クラシックのオペラ・アリアにも凝り始めていたことも影響を与えているのではないかと勝手に推測している。
明らかに深味を増している。
あくなきギターへの探究心というか、いくつになってもギター少年のままなんだな、と感じた。
内容もそれまでのキャリアを総括したような選曲であり、ゲストにエリック・クラプトンを迎えるなど実に華やかで決定盤ともいえるものだ。
ジェフ・ベック「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」~まとめ
今回は、ジェフ・ベック初の映像作品となった「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」の感想を綴ってみた
この映像をきっかけにそれまでよりかるかにジェフ・ベックのプレイを聞くようになった。
タイミングよく来日公演もあり、エリック・クラプトンとの共演をはじめ、何度かライブを体験することもできた。
以前よりも活動的になったようでライブ音源も立て続けにリリースするようになっている。
しかし、この方はこれからもさまざまなものを吸収して自身のプレイに昇華していくことだろう。
「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」は、そのひとつの過程をとらえたものであるが、ジェフ・ベックにとってのはじめての映像作品にして最高傑作として多くの方におすすめしたい作品である。
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