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ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の感想!再びギターを!

ジェイソン・ベッカー というギタリストの名前を出されてもご存知ではない方も多いかもしれない。

それもそのはず、今はもうギターを弾くことができないからだ。

バリバリのハードロック・ギタリストであったジェイソン・ベッカーが、体が動かなくなってきた過程において制作されたのがこの「パースペクティヴ」だ。

今回は、ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の感想を綴ってみたいと思う。

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ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」

ジェイソン・ベッカーは1969年アメリカのカリフォルニア生まれのギタリストで、マーティ・フリードマンとコンビを組み、カコフォニーでデビュー、その後、デイヴィッド・リー・ロスのバンドに抜擢され、順調にステップアップしていた。

しかし、そのデイヴィッド・リー・ロスのソロ・アルバム「A LITTLE AIN’T ENOUGH」のレコーディング中に左手足に異常を覚え、立ってギターをプレイできない状態まで悪化し、椅子に座ってなんとか乗り切った。

病名は、ALS(筋萎縮性側索硬化症、別名ルー・ゲーリッグ病)で、筋力がなくなり、体が動かなくなり、やがて呼吸もできなくなり死に至るという現在でも治療法が見つかっていない病である。

ツアーへの参加も断念したが、症状はさらに悪化していった。

そんな中で制作されたアルバムが、この「パースペクティヴ」である。

ソロ・アルバムとしては、「パーペチュアル・バーン」に続く7年ぶりのソロ2作目であり、ジェイソン・ベッカーにとって今のところ最後のアルバムとなっている。

ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の収録曲は、以下の通り。

「パースペクティヴ」 ジェイソン・ベッカー

収録曲
1.プライマル(Primal)
2.レイン(Rain)

3.エンド・オブ・ザ・ビギニング(End of the Beginning)
4.ハイアー(Higher)
5.ブルー(Blue)
6.ライフ・アンド・デス(Life and Death)
7.エンパイア(Empire)
8.セラーナ(Serrana)
9.ミート・ミー・イン・ザ・モーニング(Meet Me in the Morning)

1995年の発表。

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ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の感想

ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」は、感動の名盤だと思う。

今でもジェイソン・ベッカーの「パースペクティヴ」を聞く時は特別な気持ちになる。

「パースペクティヴ」は、ラストのボブ・ディランのカバー「ミート・ミー・イン・ザ・モーニング(Meet Me in the Morning)」を除いてすべてインストゥルメンタルという構成。

このアルバムは、ハード・ロックでもヘヴィ・メタルでもない。

これまでのシュレッドなギターではない、クラシックをベースとしたジェイソン・ベッカーが本当にやりたかった音楽が展開されている。

オープニングは、エスニックな調な「プライマル(Primal)」、ヴォーカル・ハーモニーによる「ハイアー(Higher)」、トランペットによるアルペジオの「セラーナ(Serrana)」などコンポーザーとしての能力もいかんなく発揮されている。

その他の曲においてももう動かなくなりつつある体をなんとか鞭打ちながらプレイしたであろう情感豊かなギター・プレイが心を打つ。

ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」のハイライト

そして、このアルバム「パースペクティヴ」のハイライトが3曲目の「エンド・オブ・ザ・ビギニング(End of the Beginning)」である。

静かなピアノのイントロから始まるこの曲は、その後、様々なパートが展開され、オーケストラの重厚なサウンド、そして、ジェイソン・ベッカーの代役としてギターを弾いたマイケル・リー・ファーキンスの神がかり的なプレイ、そして静かに幕を閉じるようなエンディング。

すべてが圧巻である!

涙なくしては聞けないこの名曲を友人が結婚披露宴の新郎新婦入場の場面で使ってくれた。

素晴らしい入場であった。

ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の感想~まとめ

今回は、ジェイソン・ベッカー「パースペクティヴ」の感想を綴ってみた。

ジェイソン・ベッカーは今なお闘病中であり、残念ながらギターを弾くことはできないままでいる。

しかし、創作意欲は衰えることはなく、家族・仲間もその作曲活動を支え続けている。

そして数年前、映画「NOT DEAD YET」(不死身の天才ギタリスト)が公開されたのだが、そこではジェイソン・ベッカーの生い立ちや今なお衰えぬギターへの情熱を見ることができた。

その❝不屈の魂❞に頭が下がる思いだ。

もし、この「パースペクティヴ」を気に入ったならこちらの映画「NOT DEAD YET」(不死身の天才ギタリスト)も必見だ。

ひとりの天才ギタリストがやがて動かなくなるであろう自身の体と戦いながら、最後の魂を込めたアルバムとしてこの「パースペクティヴ」を広くおすすめしたい。

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